木材のカットに欠かせない道具の筆頭がノコギリです。
今回は標準的なノコギリを購入して使用するために知っておくと便利な基本的な仕組みと、杉材を家具制作のためにカットするのに使いやすいのはどういうノコギリなのか、そして、実際のノコギリの使い方をまとめてみました。
- ノコギリの特徴・仕組み
- 杉家具製作に適したノコギリのタイプ
- 実際の使い方
それではいってみよう!
特徴
ノコギリは値段の差があまりない道具です。
昔は刃と肢が一体型のノコギリを、切れなくなったら刃を研いで(目立てをして)使っていたらしいですが、現在では替え刃式が主流のようです。
プロでも替え刃式の数千円のモノを使っているといいます。
そして木工全般的にとてもよく使う道具ですので、安物に走らずにプロ仕様のモノを揃えたい一品です。
刃には縦横がある
木には木目があります。根っこの方から頭の方へ向かって走っている木の繊維の方向です。
木目に直角(丸太の横から)の方向が横挽きで、繊維を切断していく動きになります。
木目と平行の方向が縦挽きで、繊維に沿って削っていく動きになります。
一般的なノコギリといえば左右に刃がついたノコギリを想像する方が多いのではないでしょうか。
これは両刃ノコギリといって、片方が横挽き用、片方が縦挽き用となっています。
7寸目・8寸目の違い
よくノコギリには、◯寸目と表記されています。これは、同じ数の刃がどのくらいの距離で並んでいるか、を表しています。
よって7寸目のほうが8寸目よりも目が細かいということになります。
265、300と表記されているものもあります。これはそれぞれ、9寸目、10寸目のことです。
アサリの説明
ノコギリの刃は、ギザギザですよね。
この刃は一つ一つがまっすぐに並んでいるかというとそうではなくて、ほんのちょっぴり、互い違いに左右に開いています。
この左右の開きを「アサリ」といいます。
アサリが無いと、切断途中で、すでに切り終えた左右の木材にピッチリ挟まれる感じに接触してしまい、ノコギリが動かせなくなります。もしくは、摩擦の抵抗でものすごく重たくなってしまいます。
少し開いているおかげで、ノコギリの厚み以上の幅で切断できて木とノコギリの間に隙間ができ、そのまま挽き続けることができるわけです。
また、隙間があることによって、削り取られたおが屑がムリなく外に逃げることができるわけですね。
よくできてるね
ノコギリを作った人たちの試行錯誤がうかがえるね
ちなみに特定の作業で使うアサリがないノコギリもあります。
アサリが無い方が切り口はキレイです。
引く動きの時に切れる
ノコギリは構造上、押す時ではなく引っ張る動きの時に削られていきます。
これはこういうものだと覚えましょう。
初心者向きなのは
目が細かい
基本的に目が細かい刃の方が挽き始めの引っかかりを作りやすく、細かい作業ができるので初心者向けです。
逆に大きく間隔が広い刃のメリットはそのぶん早く切れることです。
特に縦挽きは横挽きと比べて刃が大きいので、切り始めの引っかかりを作るのがとてもやりにくいです。
元々縦挽きは、繊維に沿うことと、柱などの長さのあるものを縦にザックリと切断するということをメインとした刃なので横挽きよりも刃が大きいのですね。
昔の大工さんなら縦刃のメリットもあっただろうけど、家具作りではあまり必要無いかも
重さや大きさは?
ある程度の距離を切る場合は重さと大きさを求められますが、家具制作など細かい作業では軽くて薄い刃のほうがやりやすいです。
結論:家具制作で初心者向けなのは
以上を踏まえると目が細かく(両刃よりも)軽くて薄い、片刃の縦横兼用のノコギリが初心者にはより使いやすいかと思います。
両刃式は縦を使わずに横ばかり切れなくなって交換ということがありがちだそうなので、縦横兼用の方が経済的メリットの面でも大きい
兼用でも特に不便なく使えるしね
…と、ここまで基本的なノコギリの特徴を挙げ、どんなタイプのノコギリが家具の製作に適しているかを書いていきましたが、実際このサイトでオススメしているノコギリはかなり特殊です。
外見は両刃ノコギリですが、どちらも縦横兼用となっていて、アサリ無しの刃がついています。
アサリが無くても通常の用途で使える構造になっているそうで、たしかに問題無く使えます。そして従来のアサリ無しノコギリと同じように、切り口がキレイにできるという良いとこどりのノコギリです。
レビューをみても切りやすいという評価が多く、初心者にやさしいノコギリだと思います。
替え刃の交換
各メーカーで微妙に違いますが、そんなに難しいものではありません。
各メーカーのWEBサイトに出ていると思いますが、全体的に、刃を布で包む、手袋をするなどで、怪我に注意して行いましょう。
手入れ
錆びないようにするために、基本的に使った後はついた木屑やヤニは乾いた布でキレイに拭き取り、あれば錆止めの油を塗り、余分を軽く拭き取りましょう。
切る時に気をつけること
しっかり固定
特にまっすぐ切らなければならない場合はクランプで固定がベストです。
両手を使って切ったほうが安定しますので、最初はなるべくクランプで固定しましょう。
そこまででなければ、木材の大きさや切る位置次第で足でおさえて動かなければクランプでなくても良いです。
固定する場合、残すほうを固定しましょう。
姿勢
- 目線とノコギリと墨線が重なるように真っ直ぐの姿勢を意識する
- その上で墨線を真上から見る
- 前後に動かすが基本なので線の正面に立つ
- 両手で持って挽く
この辺を意識してみて
正確に切るコツ
切り始めはズレないようにノコの腹に親指を添える
基本的に墨線の真上ではなく墨線の外側(切り捨てる側)を切る
アサリがあるためだね
切る
切り始めの切り込みを入れられたら両手で持ちます。
基本はだから角度次第で持ちずらかったら柔軟に片手で持とう
挽き始めは30度、挽き終わりは立てて、とよくいわれます。それを基準として、木材の大きさ、切る位置、太さや重さによって切りやすい角度は変わってきますので、ノコギリの角度を、木材の反応をみながら変えていきましょう。
一気に切らない
厚さがあったり、部材の形によっては、一方向から挽き続けると、切り落とす部分の重さ次第では挽き終わる前に折れてしまいます。
そういう部材はある程度切ったら90度回転させて、4面全て切って最後に材の中心を切り落とすようにしていきましょう。
多少手間でも、途中で切る面を変えた方が切断面もキレイになります。
主に角材かな
なので墨線もちゃんと4面に描こうね
先端を上げて切る
ノコギリは引く時に切れますので、先端が下がっていると引く動きが上方向となり、木材が動きやすくなります。
なのでノコギリの先端を上げた向きで挽いた方がやりやすかったりします。
やってみた感じ、個人的にはどんな時でも挽きやすいわけではないので、これも木材の反応を見ながら、やりやすいほうをその都度選びましょう。
刃全体を使って挽く
ノコギリでの切断は節の部分でも無い限り、必要以上に力を込めなくても同じ軌道で前後に動かしていけばノコギリ自身の重さで刃が木材を噛んでいってどんどん削れていきます。
特に杉ならなおさら
なので、まっすぐ前後に挽くということに集中して、ゆっくり、刃全体をくまなく往復させるようなイメージで、ギーコギーコと大きな動きで挽いた方が失敗しにくくなります。
ソーガイドを使う
まっすぐ切れるようにガイドも売られています。
私が使用しているのはゼットのソーガイドベストです。
ガイドの土台にあるストッパーをだして木材に固定させて、2枚のガイドプレートの間にセットのノコギリ刃を通して切っていくのが基本的な使い方です。
基本的な使い方では、9センチ幅の板とかであればほぼ問題なく、本当にキレイに切れます。
もうこれだけで買ってよかったと個人的に思います。
ただそれ以上に奥行きがあったりしてそのままでは途中でプレートから外れてしまう場合、補助材をあてるなど工夫が必要で、それくらいならガイド無しでやってしまっても良いかな…とちょっと私は思ってしまいました。
まとめ
- ノコギリの特徴
- 刃には縦横がある
- 家具制作には縦横兼用一択
- アサリがあるからスムーズに切れる
- アサリが少ないほど切断面がキレイ
- 引く動きで切れる
- 切る時のポイント
- 切る時はしっかり固定
- 姿勢をまっすぐ
- 線の正面に立ち真上から線を見る
- 切り始めを指を添えて作る
- 両手で持つ
- 角度は木の反応を見て
- 一方から切り落とさない
- 刃全体で切る
いかがでしたでしょうか。
今回はノコギリについて、その特徴と使い方のポイントをまとめてみました。
ノコギリは前述したとおり、ピンキリの差が少なく、プロも使うグレードのものが他の手道具に比べて手頃な値段で買える道具です。
その上、杉家具製作において、とても使用頻度の高い道具となりますので、あまり気負わずに、まずは意味なく木片を切ってみたりして、身近な道具にしていきましょう!
最後まで読んでくれてありがとう!
またね!
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