さて木工を始めるのに必要なモノはなんなんだい?
両手だけでやるわけにはいかないものね。まずなにを揃えれば良いのかまとめてみたよ
今回の記事は、
- 経験ゼロから、杉などの木を使って生活用の家具を作って見たい
- 自分でできることを増やして少しでもお金依存の状態を無くしたい
という人が一歩を踏み出すためにまず揃えるべき道具をまとめます。
まずは手道具を揃えよう
6080プロジェクトでは、支出を抑えて必要なものを自分で作るが大前提です。
この前提を考慮した場合、このサイトでは基本的に電動工具よりも手道具を優先的にオススメしています。
電動工具のデメリット「高価・騒音・危険」
電動工具は確かに早いです。そして楽、ではあるのですが
高価…
電動工具は高いです。確かに価値が価格を上回っていれば、いくらだろうが買った方が良いとなるのですが、電動工具が真価を発揮するのは、同じような条件でたくさん処理をするときです。
例えば同じサイズで板を何十枚も何百枚も切る、という状況であれば丸ノコの方が良いかもしれません。
ただ個人では、よっぽど木工が好きで無い限りなかなかそういう状況にはならないでしょう。
時間をかけてセッティングして、1枚切って終わり、で、あれば、ノコギリのほうが費用対効果が高いです。
騒音…
そして、木工に限った話ではないですが、電動工具や木工機械は概ねうるさいです。とてもうるさいです。普通の住宅地で使うにはかなり音対策をしたうえでやった方が良いです。
これをしっかり対策せずに使ってしまうと、周囲とのトラブルになりかねません。
危険…
そしてなんといっても、危険です。
電動工具等は想像以上に、とても危険なんです。
木工房で学ぶときなど、どこの工房でもまず真っ先に電動工具等の使い方を時間をかけて教えていると思います。
未経験者が独学でまずやってみる、という段階では、手道具から初めて木の工作に慣れていったほうが良いと思います。
大は小を兼ねる
木工の場合、電動工具よりも、大型の木工機械の方が性能が良くて、使いやすいんです。
なのでこれは理想になってしまうのですが、個人が個人向けの電動工具を買うくらいなら、コミュニティでお金を出しあって木工機械をシェアしたほうが合理的だと考えています。
どうしても手道具はイヤだ、電動工具でサクッとやりたいんだ、であれば、やっぱり数万円だしてちゃんと学べる工房で、一度しっかりと学ぶことをオススメします。
大事な部分を繰り返しますと、ほとんどの電動工具は、大量に処理することで真価を発揮するものなので、支出を抑えるというコンセプトで個人が使うには若干手に余りがちになります。
ただ手作りした満足感を得たい、そのためなら出費を惜しまない、という目的であれば電動工具はオススメです。
未経験であれば、そもそも木工は自分に合っているか、がまだ不明だと思うので、まず確認したほうが良いです。
電動工具をひと通り揃えてやってみたら苦手だったではダメージがでかいですからね。
その基準でいくと最初は手道具からが圧倒的にオススメ。木工に限らず言えることですが、よちよち歩きからゆっくり始めていきましょう!
手道具の紹介
道具といえどやはりそこそこ良いものを
木工をやってみるにあたって、自分に向いているか分からない状態で電動工具を買い揃えるのはリスクが高いというのが、手道具を勧める理由の一つでした。
ただだからといって道具がすごく安いかというとそんなこともありません。
安物を買って使いづらく、木工がイヤになっては本末転倒ですので、やはりそこそこのモノを勧めざるをえません。
モノを買う時はいくらでまた売れるか(リセールバリューといいます)をふくめて考えるのが大事で、そう考えると、安物との差はそこまで大きくないでしょう。良いモノは、フリマ等で何割引かの値段で売れるんです。
揃えるべき道具はこちら
道具の一覧です。
- ノコギリ
- クランプ
- 差し金
- コンベックス
- ノギス
- スコヤ
- 自由スコヤ
- ドライバー
- ヤスリ
- ノミ
- 玄能
- 砥石
- カンナ
けっこうあるね
やるなら全て必要になってくるのですが、最初これらを揃えてやってみて、できそうなら次これを追加し、イケル!と強く思えたら追加でこれ、といった感じで、3段階に分けてみました。
理由は下記に書きますが、1段階を揃えてみるをまずは目安としましょう。
1段階
ノコギリ
木材を切るのに使います。
今現在売られているモノは替え刃式がほとんどです。
下記のノコギリは両刃ノコギリですが、従来の縦挽き・横挽きに分かれているのではなく、縦横斜め兼用のミックスされた刃が両面についています。
普通横挽きばかりを使いがちで、縦はまだ使えるのに横が切れなくなったから交換となりやすいのですが、このノコギリはきっちり両面使い切って交換できるので経済的。
真っ直ぐに切るためのガイドとセットになった片刃式のノコギリ(縦横兼用)も余裕があればあると良いです。
ただこのソーガイドは万能ではなく、部材の大きさ・厚さ・形によっては使いづらく真っ直ぐに切りにくかったりします。
クランプ
切る時に木材を動かないように固定したり、ボンドで接合する時に圧着させるために使ったりします。
電動工具を使用する場合でも必要になりますし、杉を使う場合は特に良く使うので、ある程度の品質のものにした方が良いです。
数があればあるほど使いやすいのですが、最初は200㎜と500㎜のF型クランプというものが2本ずつあれば大体事足ります。
差し金
このメーカーが一番シェアが高く多様な差し金を作っていて、種類によっては丸太から取れる角材の最大値を測れたり、円の円周を測れたりするのですが、個人はそんなことしないので標準的なもので良いと思います。
コンベックス
長さ4メートル以上
幅19㎜
メートルメモリのもの
あたりが使いやすいと言われていますが、手元にあるならまずそれを使いましょう。
ノギス
アナログ式で充分。
精度が狂ってしまうので、絶対に落としてはいけないと言われています。
どうしても落としてしまう不安がある人は、精度は落ちますが最初はプラ製を使ってみるのも手。
扱いに慣れてきたら精度のしっかりしたモノに買い替えましょう。
完全スコヤ
スコヤにも種類があって、直角に線を引けるのが完全スコヤ。
木材に直角に線を引くなら差し金よりも圧倒的に精度良く引けます。
自由スコヤ
ネジ部分を緩めて自由に角度を作れます。
とくに図面から角度の付いている線を写しとるのに最適です。
計測と墨付けにおいて、特に絶対必要なのは「差し金」「コンベックス」「ノギス」の3つ。これだけあればなんとかなりますが、これらの工程はその後の作業精度にとても影響が出てしまうので、「完全スコヤ」「自由スコヤ」の2つもあった方が良いです。
ドライバー
ビス留めに使います。ビスは太くてネジ山が大きいもののほうが丈夫ですが、杉の場合は特に割れやすいので、ビスを使うにしても細いタイプの使用頻度が結構高いです。
なので1番と2番の2サイズを用意しましょう。
手動式のモノで、とりあえず手元にあるならあるものを使いましょう。
無いならホームセンターによくあるこちら。
ヤスリ
製作するものは元々自分で使う用なので、主にバリを取るが目的ですが、木は磨けば磨くほど美しくなります。ここに喜びを感じられれば、ヤスリの使用頻度はグンと上がるでしょう。
逆にここに特に喜びを感じなければ、電動サンダーがめちゃくちゃ欲しくなります。
以上が第一段階の手道具です。
まずは上記を揃えて製作できるものから作ってみましょう。
2段階
ノミ
9㎜(3分)・15㎜(5分)・24㎜(8分)の3本があればオーケー。
ノミ自体の使用頻度は高く1段階目で持っておきたいほどなのですが、使う場合必然的に研がなければならなく、この研ぐということが少し習得が難しいので2段階目としました。
一番最初は替え刃式のノミが良いかと思います。
研いで使うことも普通にできますので、練習もできますし、万が一失敗しても刃を変えることができます。
自分の使用頻度を踏まえて、もう研がないでその都度刃を変えると割り切ることもできます。
その場合砥石は揃える必要が無くなります。
玄能
金づちですね。釘打ちに使われるイメージですが、杉家具の場合あまり釘は使いません。主にノミを叩くのに使われます。
釘打ちでは300グラム前後のモノが使いやすいですが、ノミを叩くのには400〜500グラムぐらいが使いやすく、柄はゴム製が良い。
砥石
ノミの裏側を研ぐ用のダイヤモンド砥石の1000番。
中研ぎ用として1000番。仕上げ研ぎ用に6000番といろいろ種類があります。
ヤスリと一緒で、数字が大きいほうが粒が細かいです。
ザックリと出来るだけシンプルに紹介したけど本格的にはもっといろんな種類を使い分けてるよ
個人が週末に利用するって頻度ならこの3種類あれば大丈夫そう
3段階
カンナ
言わずと知れた木の表面の凸凹を削り表面を平らにする道具です。
このカンナを使う場合、刃を研ぐためにノミで紹介した砥石に加え、カンナ台を調整するための道具も必要になります。
最初の一つは古道具屋等で数千円のモノを買って触ってみましょう。ホームセンター等で売っているモノは全体的に良くありません。多分、買うくらいなら使わない方向で考えた方が良いくらいに。
カンナ台の形を整える道具として、「下端定規」「面直し器」「台直し器」等があります。カンナを使うならこれらも必要になってきます。
カンナの重要性は高いです。
面と面が歪んだ状態でボンドで接合しても、効果は半減。ピッタリ同士を圧着させることによって初めて高い効果を生むので、面を綺麗にするのはとても重要なんです。
けれどその使い方。そして使用するための調整等にだいぶ高度な技術を要し、その習得はもはや2割の範囲を超えてプロの領域にある気がします。
カンナ台の削りなんて完全にプロの域
だけどこれをしないとカンナをまともに使えないからね…
もう最初からカンナではなく、手押しカンナや、自動カンナといった機械を使ったほうが良いのではといったレベルなのですが、この機械も電動工具の中でかなり高価。そしてトップクラスにうるさいです。
やはりこれも、個人が自分の生活用品を作るという目的のためだけに持つにはかなりオーバースペックのように思います。
当然、個人向けの電動工具よりも本格的な木工機械の方が性能が良くて使いやすいです。
個人用で数万円…。大型機械で数十万…。リセールバリューを踏まえても、ちょっと怖いね
だから道具はそれぞれの家庭が持っていて、地域ごとに本格的な木工機械がある工房があって、シェアしあえる形がとれれば一番良いんだけどね!
最初は、狂いのないキチンと製材されたものを買って、なるべくカンナを必要としないようにするなどとするのが無難かもしれません。
もちろん調整やメンテも習得してカンナを使うに挑戦してみるのも有りです。
流石にあったほうが良いと思われる電動工具
ドリル
ドライバドリル
ダボ留めの穴開けに必要。
杉は柔らかいので、構造上止める箇所によってはビスやホゾだと穴が拡がってきてしまうおそれがあります。なので基本ダボやビスケットジョイントとボンドで接着接合のほうが相性良いです。
そのダボ穴を空けるのに必要なのがドリルです。
この目的で買うならドライバドリルと呼ばれるモノになります。
ただ、ビスと木工用ボンドとの併用でもすぐに壊れるということはないので、最初はビス留めだけでできる構造のモノを中心に作ると割り切ってドリル無しでやってみるのも手。
簡単な作りの、重い物を乗せない予定の棚とか
ドリルを使うなら付随して必要になるモノ
ダボマーカー
ダボ穴を開けた対となる全く同じ部分に、穴を開ける印をつけるためのもの。無いと同じ位置に穴を空けるのはまず無理です。
超重要。6・8・10㎜が10個ずつあれば良いかな
ダボ穴ガイドorドリルスタンド
ドリルで板面に対して垂直に穴を開けるために必要。ドリルスタンドのほうが綺麗に確実に開けられますが、ダボ穴ガイドでもできないことはなく、個人利用であれば費用対効果でダボ穴ガイドで良いと思います。
コンビネーションプライヤー
ダボを仮入れしたあと抜く時に使ったりします。たまにピッタリハマりすぎて手で抜けなくなったりするのであると便利です。
その他
ジョイントカッター
上記と同じ理由ですが特にこちらはビスケットジョイントでしか使わない上にかなり高価なので、こちらもカンナと同じでシェアが理想です。
最初は固執せずに、ダボ、もしくはビスでとにかくやってみたほうが良いですよ。
以上です。振り返ります。
揃えたい手道具
- 第一段階
- ノコギリ
- クランプ
- 差し金
- コンベックス
- ノギス
- スコヤ
- 自由スコヤ
- ドライバー
- ヤスリ
- 第二段階
- ノミ
- 玄能
- 砥石
- 第三段階
- カンナ
- 下端定規
- 面直し器
- 台直し鉋
- 電動工具
- ドライバドリル
- ジョイントカッター
- ダボ補助具
- ダボマーカー
- ダボ穴ガイド
- コンビネーションプライヤー
順番としては、とりあえずレベル1の道具を揃えて、その次にドリル。で、ノミと砥石、といった感じでしょうか。
焦らずに自分のペースで少しずつ揃えては触ってみましょう。
ぶっちゃけノコギリで切って、ボンドを塗って圧着させるだけでも木工だよ!まずは工作を楽しもう!
今回はすんごく長くなっちゃった!
最後まで読んでくれてありがとう!
またね!
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