これまでご紹介した農法を土台に家庭菜園をするにあたって、消耗品以外でどんな道具が必要でしょうか。
実は慣行の家庭菜園と比べてもずっとずっと必要な道具は少なくなります。
なぜなら、耕さないし、完全に除草しないし、肥料も農薬も使わないからです。
今回ご紹介するのはこちら
- ノコギリ鎌
- シャベル
- 移植ゴテ
- 剪定鋏
- ジョーロ
今回ご紹介するのは全て道具です。機械は登場しません。これは、なにがなんでも機械を使わないということではなくて、個人(家族)で食べ切れる規模なら道具だけで十分ということです。
この家族が食べ切れるくらいの規模というのはおそらく、広くても50平方メートルくらいかなと考えています。
また改めて別の記事でゆっくりとご説明しようと思うのですが、全く経験のない方がゼロから始める場合、その広さは小さければ小さいほど継続しやすいと思います。
仕事をしながら趣味で試しに…という方なら、本当に1平方メートルくらいから始めた方が良いくらいに考えています。
その理由は改めて
とにかく今回は、①それぐらい(〜50平方メートル)の規模で、②協生やたんじゅんなどの自然生態系を利用することを主とした農法で始める場合、最低限これを揃えればできる、という道具のみをシンプルにまとめてみました。
ぜひ参考にしてみてください。
ではいってみよう
草刈り鎌
文字通り草刈りや、種類によっては収穫時に使います。今回ご紹介する道具の中で一番使用頻度が高いです。
そんな草刈り鎌ですが、お店に行くとたくさんの種類がおいてあります。
結論を先にいうと、『鉄製のノコギリ鎌』を用意しましょうです。
鎌には様々な種類があって、刈り取る草によって適切な(使いやすい)刃が異なります。
その一つが鎌の刃の厚さです。柔らかい雑草を刈るときには薄い刃を。根が深かったり固く刈りにくい草には刃の厚いものが使いやすいです。
家庭菜園においては、草刈りにも収穫にも使えるノコギリ鎌が一つあれば十分かと思います。
土質や環境によって生えてくる雑草も異なりますので、もしなにかが極端に生えてくるようであれば、それにあった鎌を別で用意しても良いでしょう。
素材
鎌などの農具の素材は大きく分けてステンレスと鉄の二つになります。
この二つの主な特徴は以下の通り
- ステンレス→錆びない・硬いので研ぎが大変
- 鉄→放置で錆びる・適度な硬さで研ぎやすい
年に数回庭の草刈りに使う程度の使用頻度であればステンレスで良いかと思いますが、家庭菜園においては使用頻度がとても高いです。
雑草の記事でご紹介したように、根が深くはる雑草は地面の中を気持ち潜って成長点を切り取るイメージで刈るので、土の中を進ませたりとそこそこ荒っぽく使います。
なので圧倒的に鉄製のモノを研ぎながら使うのが最もオススメです。それも、刃の部分は鋼で、焼き入れがしてあるとなお良いです。
値段でいうと1000〜2000円くらいの価格帯であれば大体そうなっています。
鋼であれば、研ぐことによって切れ味が長続きします。
まともな鋼が使われていない数百円の安いモノだと、研げば切れ味は戻れど一時的で、またすぐに切れなくなってしまうので、無駄に研ぐ手間ばかりがかかってしまい時間ばかりが奪われて経済的ではありません。
安物買いの銭失い
使用内容や頻度を鑑みるとやはりそこそこのものを研ぎながら使うが一番良いでしょう。
研ぐというと手間がかかること自体、やったことがないと抵抗があるかもしれませんが、実際やってみるとどの刃物と比べても(根気はいりますが)そこまで技術を必要とせず、とても簡単です。
以下で研ぎ方を解説します。
研ぎ方
用意するもの:
半円型のダイヤモンドシャープナー
ノコギリ鎌は切れ込みが入っている表側と
裏側に分かれています。
研ぐのは表側
ノコギリ刃の一つ一つの切れ込みに合わせて、
軽くあててダイヤモンドシャープナー全体を使ってしっかり10往復くらい。
これを全部の刃にあてて。
最後裏側にかえりと呼ばれるバリが多少発生しているので、かるくバリをとるようにダイヤモンドシャープナーで撫でるように研げば完成。
手で触れてバリのような引っかかりを感じなくなれば完成
裏側からみてギザギザが一つ一つ尖っているのが切れる状態。ギザギザがほとんど無くなってきたら買い替えどき
錆の防ぎ方
ステンレスのメリット・鉄製のデメリットとして錆びがあげられますが、そもそも錆びの原因はなにかというと
- 土がつく
- 傷がつく
- 草の成分がつく
なので、使用したら
- 良く洗う
- 乾かす
- 油を塗る
をすればほぼ防げます。
これは鎌に限らず、あらゆる鉄製の農具や工具にあてはまります。実際やってみると、そんなに大した手間ではないですし、キレイになると気持ち良いですよ。
たったこれだけで、千円強のノコギリ鎌が驚くほど長ーく使えます。
結論
草刈り鎌は『鉄製のノコギリ鎌』
こちらの商品は実際私が使っている鎌です。私が左利きなので左利き用の鎌となっています。右利きはこちら。
2年近くを、地表面を削るようにゴリゴリと酷使し、一時的に畑の草むらで行方不明になって放置、錆錆になって発見されたりした経緯もありますが、定期的に研ぎつつ未だ欠けることなくしっかり使えています。
錆び錆びだった鎌も使うたびに洗ってオイルを塗っていたらだいぶ錆びも目立たなくなりました。
これしか使い倒したことないのですが、無難な一品です。
まだ使ったことはないけど気になっている鎌が↓こちら
シャベル・移植ゴテ
シャベルは主に畝立てと、果樹の定植に使います。
畝立ても果樹の定植も、一度作業をしたら基本的に使い続けるので、そんなに使用頻度は高くないです。
一方移植ゴテ(ハンドスコップ)は、苗の植え付け等に使い、こちらはコンスタントに使っていきます。
形
形は大きく先が尖った剣型と、平らな角型に分かれます。
地面を掘るのには剣先の方が差し込みやすく、一度掘った土や砂利や雪などをすくって移動させたりするのには一度にすくえる面積の広い角型が使いやすい、といった感じで使い分けられています。
家庭菜園の場合は圧倒的に掘る作業が多いため、剣先シャベルをオススメします。
素材
またこちらも素材は鎌と同様に大きく鉄とステンレスに分かれますが、こちらは切るという動きがないため、ステンレスがオススメです。
これらも使ったら水洗いをして水気を拭き取っておきましょう。
結論
シャベル・移植ゴテは『剣型のステンレス製』
剪定鋏
園芸には様々な切る作業があって、それぞれの作業にあった専用の鋏があります。
同じ作業を連続でやることが少なく、また使う機会も限られているので、オーソドックスな万能タイプがオススメ。
園芸ブーツ
土が剥き出しの場合、雨後のぬかるみはとんでもなく靴を泥だらけにします。
下手すると一回でお亡くなりになります
ただある程度草が生えている。もしくは、刈った草を敷き詰めている場合、そこまで泥だらけにはなりません。
基本的に(大工さんが履いているような)足袋が一番使いやすく、このような商品が総合的におすすめです。
ジョウロ
畑なら基本的に水やりはしません。使うにしても、苗を定植する時に根を活着させるため、掘った穴をタップリ湿らせる時に使うくらいです。
よって、口は水差しのような細いものが使いやすいでしょう。
素材に関しては、ステンレス・銅・ブリキなど、結構たくさん種類があります。
大きさによりますが、ジョーロは水を入れるため、とても重くなります。
なので本体はできるだけ軽いほうが使いやすい。
というわけで、耐久性では劣りますが、総合的に考えてプラスチック製がオススメです。
日向に出しっぱなしにしなければ、使用頻度も高くないため、プラスチックでも長期間使えると思います。
苗を植える穴に水を染み込ませるくらいなので、バケツとか、大きめのコップとかでも代用できちゃう
派手な色のテープを付けよう
草を敵としない畑で鎌やシャベルを置いた場所を忘れてしまうと、草に埋もれて見つけられなくなります。
本当どこにあるかわからなくなる。大体使うのは冬以外だから、炎天下の中を探すことになりがち。地獄。
忘れてもピンク等の派手な色のテープを取っ手の部分に巻き付けておくと見つけやすくなります。
それ以外は
耕さないから鍬がいらないは分かるけど、それ以外にも農具っていろいろあるよね。その辺どうするの?
おっしゃる通りで、畑には
- 作った畝を平らにならす
- 刈った草をまとめて移動させる
といったように、いろんなことをするための専用の道具があったりします。
しかし実際経験してみると、そのほとんどが、手でできます。それも、多くの道具よりもずっと細やかに丁寧な作業ができてしまいます。
確かにその広さが一反(1000平方メートル)規模になってくれば、専用の道具の方が早く楽だったりしますが、最初に定義した通りあくまでも家庭菜園基準です。
せいぜい50平方メートル。となると一畝せいぜい数メートル。であれば、手を使った方がよっぽど楽。
しかも洗えばすぐに綺麗になります。
手ってすごい
まとめ
以上を振り返ると、以下のようになります。
【必要な道具】
- 鉄製のノコギリ鎌
- ステンレス製のシャベル
- ステンレス製の移植ゴテ
- 万能タイプの剪定鋏
- プラスチック製の細口のジョーロ
これらに加え、ダイヤモンドシャープナーを合わせても、多めにみても1〜2万円もあれば十分なものが揃えられると思います。
50平方メートル以内の一般的な畑であれば、これだけあれば十分。
ひたすら楽にを基準に考えてしまうと、どうしても機械に手を出したくなってしまいます。
そうなると、出費が青天井になってしまいます。
そこで提案したいのは、逆転の発想で、まずは上記の道具だけで、余裕をもってやれる広さだけやってみるというのはどうでしょうか?
それが例えば、10平方メートルであれば鎌だけで草刈り余裕、20平方メートルではちょっと追いつかない、ということであれば、あなたの生活サイクルにおいて適度に楽しめる範囲の広さは10平方メートルということです。
こんな感じで、家庭菜園を始める耕作面積を、自分達がどれだけ食べるかではなく、道具だけで自分が楽しんでできる広さかどうか、を基準にして決めるのも良いかもしれませんね。
最後まで読んでくれてありがとう!
またね!
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