今この日本で自作として使うべき木の素材は杉という話

アイキャッチ 木工

6080プロジェクトでは、道具の制作の素材に木材を推薦しています。その中でも特に、全面的に国産杉を推しています。
先にザックリと結論を書きますと、

  • 無垢の木を使った製品はずっと使えるので、長い目で見れば経済的。その中で特に杉は安価

  • 家具としての制作販売においてはデメリットな柔らかさが、自作では加工しやすいのでメリットとなる

  • 現在の日本は全国が杉だらけ。意識して国産の杉を使っていくのは社会的意義が大きい。
  • と、このようなお話を詳しくしていきたいと思います。

    杉の木材としての特徴    

    杉には主に以下のような特徴があります。

    • まっすぐ成長する
    • 成長が比較的早い
    • 木目が直線的
    • 柔らかい
    • 空気を多く含んでいる

    主に建築に使われています。

    • 柔らかい→加工しやすいので、手道具のみの時代でも部材が作れた
    • 空気を多く含む…
      1. 外気温の影響を受けない
      2. 調湿効果がある
        • →四季の変化がある日本で、温度や湿度による変化が少ないことが好まれた
    杉板の床の画像
    杉板のフローリング

    床を杉材にすると冬冷たくなく、夏ベタベタしないので、裸足で気持ち良く歩けるよ!

    とっっっても傷だらけになるけどね!味わいだと割り切ろう!

    反面、家具にはあまり使われません。

    • 柔らかい→傷がつきやすい
    • 柔らかい→折れやすい

    普通の基本的なデザインの椅子を杉で作ると人の体重で脚が折れます。
    なので販売のための生産ではクレームが起こりやすい上に費用が嵩みがちです。少しでも傷がついてしまっては売れなくなるため管理コストもかかります
    よほどのことがない限り、家具に杉は使われません。

    木製の椅子
    一般的なデザインだと脚が折れてしまう

    歴史

    戦争時に木材が大量に使われる。住宅も破壊されまくったので、戦後の経済成長時の需要増に応えるためたくさん消費され、補うために大量に植えられる。そのほとんどが杉でした。

    ほぼ日本全土に分布

    その理由は…

    • 高くまっすぐに育つ→同じ広さなら他の木に比べてたくさん植えられる
    • 柔らかい→加工がしやすい
    • 育てやすく成長が早い
    杉林
    日本全国に拡がっている杉林

    問題

    伐採適齢期を迎えた現代→外国からの輸入の方が圧倒的に安かった。

    その理由は…
    その1・植えた時と比べてすんごく円高になっちゃった

    どういうこと?

    植えていた頃の時代と比べて、日本円で外国の品が安く買えるようになっちゃったということ

    その2・国内の急峻な山地に植えられたため伐採コストが嵩む

    とはいえ、なぜ外国の木材がものすごい遠くからエネルギーを使って運ばれるのにも関わらず安いのか、は、想像してみよう

    …?

    そこで働く人たちの労働条件とか環境とかさ

    …怖っ

    結果人工林の多くが放置されてしまった→手入れされない杉は細く育ち利用価値が落ちる→ますます放置でやがて朽ちる、という悪循環が続きます。

    また、花粉のイメージもある杉。放置された杉林が減らないためにその被害も続いています。
    その医療費も莫大です。
    そして花粉症の症状でその期間の活動が制限させられる人たちからしてみれば、その時間損失は相当なものでしょう。

    そんなところも目先の安さを優先させて発生したしわ寄せだよね

    まとめると、外国の木材ばかりが使われて、国産の杉が使われなくなり、結果日本全国杉だらけ。
    つまり、国内の杉をもっと使わなければならないのです。

    使おうとする動きもあるが…

    外国の木材との価格競争に勝つために効率化に走りすぎて生まれたのが皆伐というやり方です。
    従来は少しずつ間引いていく間伐。
    それに対して、かかるコストが安いため一帯を根こそぎ伐採してしまうのが文字通りの皆伐です。



    植物がなくなって丸裸になった山は土を支えきれないので、ほとんどが土砂崩れ災害を引き起こしています→この被害、ものすごくお金かかってます。

    本末転倒とは…

    まさにこのことだね

    だから…国産の杉を『適切』に使おう。

    外国の木を使うのは目先確かに安く済むけど、それで生まれるのは放置され朽ちかけた大量の森。
    完全に朽ちてしまった森をゼロから復興する費用はどれだけかかるのか…そのツケを払うのは今の子供たちです。

    それがわかった時の私たち世代に向けられる今の子供達の世代の目はどんな感じでしょうね。

    …ヨボヨボになったころにボコボコにされますね

    今からでも、杉を少しずつ使って減らし、そこに多様な木を植えましょう。
    多種の木が混在する森林を増やす。それは郷土の財産になります。その価値は莫大です。

    自作に向いている理由

    • 無垢の木材の中で最も安価で手に入りやすい
    • 空気を多く含んでいる→軽い
    • 柔らかい→加工がしやすい・多くの加工が手道具でできる

    デメリットとなるキズも、自作ならばそれほど気にならないでしょう

    逆にオリジナリティになるよ!

    家具や道具にするのに問題はないのか?

    このあたりは、

    • 部材を太くする
    • 接合を工夫する

    などで、十分対応可能です!

    加工材よりも高価な無垢材だけど、安全性も桁違いだしずっとずっと長く使えるからその時間あたりで考えると多くの素材よりも安く済む

    特に杉は特徴の多くが制作販売には向かないかもだけど、素人の自作ではメリットのほうが多いよ!

    まとめ

    今回は自作するための木に杉をオススメする理由をまとめました。
    繰り返しますと、

    ・木の製品はずっと使える、その中で杉は安価
    ・柔らかさや軽さが加工に適している
    ・日本の現状を俯瞰すると、国内の杉を使う社会的メリットが大きい

    などが挙げられます。

    デメリットを補うための考え方や、実際に対処した作品の紹介も他の記事で書いていきますので引き続き読んでいただけると嬉しいです。

    最後まで読んでくれてありがとう!

    またね!

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました