柔らかい・強度が低い木にも使える【接合方法】まとめ

木工

今回は接合のまとめです。

木材を接合するやり方には様々な方法がありますが、このサイトは「買った方が安い」ではなく「作った方が安い」をコンセプトに、安価で身近な素材である杉を使った家具製作をオススメしていますので、杉材に適した接合、という基準でまとめています。

結論から書きますと、杉を使った2割スキルでできる有効な接合は、
「ダボやビスケットジョイント」または「ビスやクギ」と木工用ボンドの併用
となります。

ホゾ加工・継手加工という、材同士を切りはめるやり方もありますが、最も正確さが強度に直結するため手道具では若干練習が必要です。
また、杉ではその柔らかさで穴が広がってしまう可能性があるので、杉家具製作に関しては、補助的な部分で一部のやり方を使う、という程度に留まります。
というわけで、今回の記事では木工用ボンド、釘、ビス、ダボ、オマケでビスケットジョイントについてご紹介していきます。

木工用ボンドの特徴・やり方

  • 水分に弱い
  • 圧着が基本
  • 接着面を綺麗にする

ボンドは適切に使えばそれだけでも相当の強度を出せる接着素材です。そのためには木材が十分乾いている状態で、表面を木屑やバリが無い状態にして、クランプなどでしっかりと圧着させ続けることが重要です。

圧着のさせ方

F型クランプはその構造上、締め付けを強くするほど、バー側(Fの縦線部分)の反る力が大きくなります。
圧着する時は、2本以上を使って表裏両面から挟むようにしましょう。

写真こんな感じ

半日ほどでほぼ固定されますが、完全に使用できる状態にまでは、24時間くらい圧着を続ける必要があります。

塗る時の注意点

  1. 薄く塗る
  2. 2度塗りする

木は接着剤(の中の水分)を吸収します。1度目は吸収させ木の内部の微細な空間を埋める目的で塗り、10〜15分ほどしてから2度目で接着させるために塗っていきます。

釘とビス

違い

釘は引き抜く動きには弱いが、横からの衝撃(剪断力と言います)には強いです。
ビスはその反対で引き抜く動きには強いが剪断力には弱いです。

釘は横、ビスは縦に強いってことだね

それぞれ特徴があって役割が違うんだね

木の繊維と釘・ビスの必要な長さ

木には繊維がありこの繊維のはしる方向があります。これを「木目(もくめ)」と呼びます。
釘もビスも、この木目に対して平行(木口(こぐち)と呼びます)に打ち込むよりも、繊維を横切るように垂直(木端(こば)と呼びます)に打ち込んだほうが強度がでます。

これを踏まえた上で釘やビスの必要な長さは、外側に突き出ない範囲内で、木口は薄い方の材の3倍、木端は2.5倍くらいが望ましいとされています。

よく使う長さは25㎜、38㎜、51㎜あたり

釘の種類

丸釘

基本的な釘。素材は鉄で、若干錆びることによって保持力を高め抜けにくくなるそう。
ただし錆びが進みすぎると強度自体が落ちてしまうため、屋外には使えません。

スクリュー釘

ビスのように、少しミゾがある釘。このミゾによって高い保持力を出せるが、その分一度打ち込んだら簡単に引き抜けなくなるので注意。素材はステンレスで屋外でも使えます。

ビス

コーススレッドとスリムビス

コーススレッドは一般的で最も木工で使われるビス。先端が尖ってネジ山が大きいため、しめるとどんどん木材に食い込んでいきます。

一方スリムビスは、その名の通りコーススレッドよりも細いです。
細い分、木材が割れにくくなります。

この2つは違いは太さで、太いほうが固定力がありますが、その分割れやすくなります。

特に杉は割れやすいので他の木材よりも少しスリムビスの方が活躍しがちかな

どのやり方もそうだけど、接着との併用で強度を高めあう感じだね

割れにくくするために

事前にキリなどで下穴を開けると割れにくくなります。
あける場合はネジよりも細い穴で、長さの半分くらいの深さをあけましょう。

素材

素材はザックリ鉄とステンレスの2種類となります。特徴は一長一短なので以下の表のとおり。

ステンレス
値段安い高い
強度弱い強い
腐食錆びる錆びない

強度はあくまでも二つを比べてだよ

この中で重要なのは腐食で、屋外で使うものならステンレスにしよう

全ネジ・半ネジ

ネジ山が全体にあるか半分までしかないかの違い。

全ネジと半ネジ
全ネジのコーススレッドと半ネジのスリムビス

全ネジの長所

全ネジの方が固定力があります。
もし腐食等でネジの頭が無くなってしまった場合、半ネジであればネジ山がない部分は材を固定する機能を失いますが、全ネジであれば固定力はなくなりません。
なので屋外で使うものは全ネジを使ったほうが良いです。

半ネジの長所

ネジ山が全体にあると、固定させたい材同士を密着させずにねじ止めすると、隙間があいたまま固定されてしまい、直すことができません。
半ネジの場合はネジ山がない部分は空転するため、ネジ山が無い部分が最初の部材を貫通すれば、隙間があってもそのまましめこんでいけば片方に引き寄せられて密着します。

使いやすさでいえば圧倒的に半ネジです。

全ネジも木材同士をクランプでしっかり固定したうえでねじ止めすれば隙間なくとめられるよ

もしくは1〜2本半ネジで固定・密着させたあとプラス数本を全ネジで補強するってやり方をすれば良いとこどりできるよ

釘とビスの使い分けの考え方

釘やビスは、とめる箇所がどちらの方向で力が入りやすいかを考えて使い分けられています。

弱点の補い方として、釘は何本かをそれぞれ違う方向で斜めに打つというやり方、ビスは一箇所の本数を多くするというやり方があります。

一般的には、若干ビスの方がよく使われるけど、特徴をしっかり理解して使い分けられるとベストだよ

適材適所だね

ダボツギ

ダボとは

決まった大きさと形の木片で、繋げる材にそれぞれドリルで穴を開け、その穴に挿入して繋げる役目を果たします。
よって、ダボを使うためにはドライバドリル等が必要になります。

ダボの特徴

ブナの圧縮材でできている。接着剤との併用でその水分を吸い込み、中で大きくなって固定される。

ダボのサイズ

6㎜、8㎜、10㎜がよくあるサイズです。
当然太い方が強度があります。
繋ぐ材の大きさで選びましょう。

穴の位置はなるべく外側

例えば角材の木口側4箇所にダボを入れる場合、真ん中寄りに配置するよりも、なるべく4隅に配置した方がグラつかないですよね。
このようにダボの位置は外側に寄った方が安定します。

当然あんまり外側にしてしまうと割れてしまうので注意してね

穴を開ける時はまず木口から

木の繊維に沿ってドリルで穴を開ける時、繊維の流れに引っ張られて本来開けたかった位置からずれてしまうことがあります。
なのでダボの位置が決まる最初の穴あけは木口にあける方を優先させましょう。

どっちも木口の場合は頑張ろう

穴の長さ・深さの目安

これはダボの長さの半分よりちょっと長く、です。
合わせる木材の両方ともダボの半分以下の深さしか空いていなければ、ダボが埋まりきらずに隙間ができてしまいます。

また、両方同じ深さではなく、片側を気持ち浅め、片側を深めというように少し違いを出しましょう。
なぜかは接着時に説明します。

垂直に穴を開ける

ドリルガイド
ドリルガイド使用例
穴あけ後

お互いが垂直にあいていないと材同士がまっすぐはまりません。
垂直にあけるためには、ドリルスタンドやドリルガイドを使った方が無難です。
ドリルスタンドの方がやりやすく正確ですが、費用対効果を踏まえると、ドリルガイドで十分かと思います。

穴をあけたらノギスで深さを確認します。

深さをチェック
深さをチェック2

問題なければダボマーカーでもう片方に印をつけます。

ダボマーカー取り付け
ダボマーカー取り付け後
印付け
印

これを使わないとピッタリ同じ位置に穴をあけるのはムリだと思われます。

接着のボンドを入れる

この時、まず浅めに開けた穴から入れます。

ボンドを入れてダボを挿入すると、ボンドが行き場を失いダボの周りに充填されます。
同時に周辺の木材にも染み込み母材の強度も増します。

その次に深めの穴にたっぷりボンドを入れましょう。
たっぷり入れないとダボと穴の底の隙間にボンドが留まり、周囲に十分行き渡らないおそれがあります。

どちらもボンドが穴の外側に溢れてくるくらいでオーケーです。

圧着はボンドのところの説明と同じになります。

ビスケット

用途・使用方法としてはダボとほぼ同じですが、ジョイントカッターが正確に水平にミゾを掘ることができ、かつビスケットジョイントのひらべったい形状の特徴上、それだけでガイドも兼ねるという特徴があります。
なので板を繋げて大きな板を作る「巾木」という手法で特に活躍します。

ただビスケットジョイントを入れるためのミゾを掘るためのジョイントカッターが、その用途にしか使えないにもかかわらず高価格、ということもあり、とりあえずダボでも代用できるので今回はこういうのもあるよ、程度に留めます。

あるとめちゃくちゃ便利なんだけどね〜

高いよね…

接合まとめ

  • 杉に適した接合方法は接着
    • プラス「ダボまたはビスケット」
    • もしくはプラス「釘とビス」
  • 木工用ボンド
    • 薄く塗る
    • 2度塗りする
    • クランプでしっかり圧着24時間
  • 釘とビス
    • 釘は横に、ビスは縦に強い
    • 必要長さは木口で3倍木端で2.5倍
    • 半ネジは密着させやすい
    • 全ネジは固定力が高い
  • ダボつぎ
    • 穴の位置は外側に
    • 木口に先に穴をあける
    • 一方を浅め、一方を深めに掘る

いかがでしたでしょうか。今回は杉などの、基本的に柔らかい木材向けに有効な接合の方法をご紹介し、具体的な注意点をまとめてみました。

いろいろ書きましたが身構えることはありません。まずはシンプルに、この中でも比較的よく使われるビスとボンドの併用から始めてみて、慣れてきたら各特長を踏まえつつ、各接合場所にあったやり方を考えながら、徐々に使い分けられるようにステップアップしていきましょう!

小物ならボンドだけでも十分な強度を出せるし、最初は全部ビスにしたって、場所によっては少しずつ緩んでしまうことはあれどいきなりバラバラになってケガして死ぬわけじゃないし、いろいろ試して経験を積んでいこう!

最後まで読んでくれてありがとう!
またね!


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